宝の地図?
一度開けられた形跡のある和之君からのプレゼント。
理由も言わずしばらく「空き地」に一緒に通って欲しいと頼む実君。
俺にはわからないことばかりだ・・・。
「稔・・・あんた何やってんの?」
考え事中いきなり母さんに声をかけられ少しビクッとする。
「何っておにぎり作ってるんだよ・・・」
「・・・・その巨大な物体が・・・・おにぎり・・・ねぇ・・・」
今日から夏休み。実君との約束だから空き地に通い始める日。
俺は朝ご飯が済んで早々にお昼用のおにぎりを作り始めたんだけど・・・・・。
母さんが呆れた顔で俺のにぎったおにぎりを眺めている・・・・。
ちぇっ!肝心なのは味だ!!形じゃない!!
ピンポーン
玄関のチャイムが鳴る音。いけね!きっと実君だ!!
約束の時間、9時ちょうどだった・・・・。
「・・・ずいぶん色んな物を用意して来たんですね・・・」
空き地について、和之君がプレゼントを埋めた木の下に敷物を敷き持ってきた手提げ袋
の中から漫画本だのお菓子だのを出している俺を見て実君が少し唖然として言った。
「だって実君1日中ここにいたいって言ってただろ?あきないように色々持ってきたんだ」
ニコニコしながら言った。俺、結構この空き地気に入っているので少しワクワクしているんだ。
だって涼しいし、草の匂いするし!
対する実君は、背中に小さなリュックサックを背負っていた。中には何が入っているのか・・・
開けてくれないのでわからない。
「・・・静かだね・・・・」
俺は漫画を読み、実君は何をするでもなくただ座っていて・・・聞こえてくるのはセミの声
と鳥の鳴く声・・・。
実君は何も言わずただ黙って小さく座っている・・・・。
ぐぅぅぅぅ〜・・・。
あ!俺のお腹の空いた音!!
腕時計を見てみる。もうお昼だ!!俺は袋の中から今朝作ったおにぎりを2つ出し1つを実君に
渡した。
実君の小さな手に持たれたおにぎり・・・・ますます巨大に見える・・・・。
実君・・・目をまんまるくしておにぎりを見つめる・・・・・。
「・・・俺が作ったおにぎりなんだけど・・・・・」
俺・・・苦笑い・・・・やっぱり不恰好かな・・・。
「あ・・・ありがとうございます・・・・」
そう言って実君、小さな口でおにぎりを食べ始めた。
ほっ・・・良かった・・・食べてくれて・・・俺も食べようっと!
「・・・・唐揚が入ってる・・・・おしんこも・・・・あ、梅干まで・・・
実君がぼそっと言う・・・。
「あ・・・1つ1つにぎるの面倒だから全部入れちゃったんだ・・・他にも
別の場所に鮭とオカカ・・・昆布も入ってるよ・・・・・」
やっぱやばかったかな・・・1つのおにぎりに色んな具を入れるの・・・・
味が混ざらないように場所は離したんだけどな・・・・そう思いながら
頭をかく・・・・。
そんな俺の様子を見て・・・実君がクスッと笑った・・・・・・。
初めて見る実君の笑顔・・・・・・・。
その笑顔がとても可愛くて・・・・・・何でもっと笑ってくれないんだろうと思った。
そうこうしているうちに日も暮れ始め・・・夕焼けを眺めながら俺は実君に聞いてみた。
「ねぇ、和之君ってさ・・・君の親友だったの?」
実君は膝を抱え小さく頷いた。
「そっか・・・・・」
「・・・とっても良い奴だったんです・・・・・僕・・・・大好きでした・・・・」
実君の顔・・・・とても切なそうで・・・・俺は胸がチクンと痛んだ・・・。
こんな辛い質問・・・しなきゃ良かった・・・・。
ごめんね・・・実君・・・・心の中で謝った・・・・・・・。
実君はゆっくり立ち上がり言った。
「そろそろ・・・・帰りましょうか・・・・・」
家に着いたのは6時半過ぎ・・・俺は夕飯を待ちながらテレビをつけた・・・。
ちょうど『デビルハンター』がやっていた・・・。
和之君が好きだったアニメ・・・・。
そのままボーっと見ていた・・・・・。
主役の『ブルー』は悪い心を植え付けられた悪者をやっつけて
反省させる・・・・そんなヒーローだ・・・。
『お前の悪の心は取り除いた。』
『だから心が痛いだろ。今まで自分がしてきたことを悔やめ。そして償っていけ!』
『ブルー』の決め台詞・・・・このアニメ、ちゃんと見るのは初めてだけど・・・結構面白かった。
和之君・・・・どんな気持ちでこのアニメを見ていたのだろう・・・・。
2001.5.27
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