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(ちょこっと前書き)・・・暗くて切ないです。相変わらずの私らしいお話です(汗)







ともだち

月曜日に必ず届く手紙。
友達からの手紙。あいつとはもう17年の付き合いだ。

俺と充男が出会ったのは8歳の時。
クラスが一緒になり恐いほど気が合っていつも日が暮れるまで遊んだ。
小学校6年の頃あいつが転校した時は悲しかった。
充男の引越し先は神戸。青森と神戸・・・子供の俺たちにとっては遠い距離。
それ以来手紙のやり取りをしている。
週に1度月曜日に必ずあいつから手紙が届き俺も必ず返事を書いた。
俺はパソコンを買ったけれど充男は持っていなかったので相変わらず
手書きの手紙のやり取り。

子供の頃は会うことは叶わなかった。
でも今は25歳。俺は東京で働き一人暮らししている。
何度も『久しぶりに会おうぜ』と手紙に書いたが返事はいつも『忙しいから無理だ』
と書かれていた。

でも俺は会いたかった。
なんてったって充男は・・・・今まで俺を支えてくれた。

両親の離婚の時も・・・新しい父親に馴染めず辛い時も中学校の時苛められて
本当に辛くて仕方がなかった時も・・・週に1度の手紙があったからこそ乗り切れた。
電話もした。充男はいつも陽気で明るかった。

充男からの電話や手紙はいつも優しかった。
楽しい日常の話でも深刻な相談の返事もいつも俺の味方だった。

時には叱ってもくれた。


で、今俺、神戸にいる。夏休みを利用して内緒で会いに来てしまった。
目的の充男の家までもう少し・・・・・・この坂を上がればたぶん・・・・・・。



充男の住所に確かに家は建っていた。
でも表札はなくて・・・それどころか人が住まなくなってずいぶん時間が経った・・・という
雰囲気の家だった。

ちょうど隣の家の人が出てきたので聞いてみた。
古くからここに住んでいる感じのお婆ちゃんだった。

「すみません・・・この家に小田さん・・・小田充男さんは住んでいませんでしたか?」
お婆ちゃんは首を傾げて・・・「ああ・・・あの事故で亡くなった子だね・・」と言った。

















充男の家だった所から10分ほど歩いた場所にある道路。
ガードレールの横に花束を置く。


充男は転校して半年で亡くなった。
交通事故。
運転を誤って歩道に乗り上げた車に引かれたそうだ。

充男の家族はそれからすぐに引っ越したそうだ・・・。






電話で話したのは確かに充男だった。
手紙の字も確かに充男のものだった。
俺が出した手紙はどこに届けられたのか・・・充男からの手紙はどこから来たのか・・・
そんなことはどうでもよかった。



俺はとにかく悲しくて・・・・。



涙が頬を伝った・・・。










東京に戻りいつもの生活に戻った。


月曜日・・・充男から手紙が届いた。



たぶん・・・最後の手紙。

一言『ごめんね』と書かれていた。



俺は返事を書いた。

短い文章・・・・・・俺の気持ち全てを込めて・・・・。







『今まで・・・ありがとう』
2001.6.22