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魔法使い田中健太郎番外編

平和な夜

夕食も終わり、カー助はコタツに入りながら
熱心にテレビを見ている。

「カー助、熱燗できたよ。おつまみはするめと塩辛、どっちがいい?」
そう言いながら健太郎もコタツに入り、熱燗を置く。

「どっちも欲しい」
「そう言うと思って両方持ってきた!・・・・カー助?」

テレビ画面から目を離さずにいるカー助を不思議に思い
健太郎は首を傾げた。

「やぁ、このお尻のラインがたまらないなぁ。羽の艶もいいし〜」
嬉しそうなカー助の声。

『・・・カー助・・・まるで助平オヤジみたいだよ・・・・』

ちょっと苦笑いしながら健太郎もテレビ画面に目をやる。

テレビには、何かの特集番組なのか・・・・・ゴミをあさる
たくさんのカラスが映っていた。

健太郎は新聞のテレビ欄を確認する。

『都市部  増え続けるカラスの脅威』


「・・・・・・・・」

・・・・全国広しと言えど、この番組で欲情している視聴者は
カー助ただ一人・・・じゃなくて一羽だろう・・・・。

「うわ!ものすご良い女だなぁ!!」

喜びまくっているカー助の横で黙ってお酒を飲む健太郎であった・・・・。


その頃・・・
「あら良い男!人間界のカラスも素敵ねぇ・・・・」
ため息混じりにうっとりしているレイミ。
レイミも同じ番組を熱心に見ていた。

「ビデオにまで録画することないじゃない。だいたいレイミは
カー助一筋なんでしょう?」
キリーは呆れた顔で呟いた・・・。
「それはそれ、これはこれ♪」


平和な夜である・・・・。


END