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eyes

(貝塚のその後お話です・・貝塚と幸太、別々の視点で書きました)

(貝塚側)

倉田家を出てから5年・・・変わったことと言えば
先月父が他界したことだ・・・・・。

私は父の荷物を整理して・・・・意外な物を見つけた。

遠い昔母が私宛に出していた手紙の束・・・・・。

手紙なんて来てないと思っていた。
母が家を出て数年・・・手紙は送られ続けていたらしい。
父が隠していたのか・・・・・・・・・。

子供の頃郵便受けを見ることを禁止されていた。
小さな私はその理由も考えることもなく従っていた。



母は私への想いを手紙に書き続けていた・・・。
返事がないことの不安も出さずただ想いを書き続けていた・・・・。

そして最後の手紙で・・・まるで私への想いを断ち切るように
最後に私へ贈られた言葉。

『貴方の幸せを願っています』

父の気持ち。
母の気持ち。
・・・・自分の気持。

・・・今からでも見つけられるだろうか・・・・・。









手紙を見つけた数日後・・・本当に偶然・・・『彼』に会った。
夜の・・・・家路を急ぐ人達で混み合う駅のホーム。
数メートル横に『彼』は立っていた。

私の方が先に気がついた。

しばらく見つめていると『彼』も私の視線に気付き、目を向けた。




『彼』の瞳は・・・5年前と全然変わっていなかった・・・。
とても澄んでいて・・・・・・。
『彼』は真っ直ぐ私を見つめている。


覚えていてくれたんだろうか・・・・。

私の付けた『傷』は『彼』の心にまだ残っているのか・・・・。



大好きだったその目・・・・でも今の私には・・・辛かった。


耐え切れず・・・軽く頭を下げ『彼』を視界から外した。







電車がホームに入り、乗り込む。
『彼』とは車両が違う。

本当に偶然会った・・・・もう会うこともないんだろうか・・・・。

今度会う日がもしあるのなら・・・その目から逃げない私になっていたい・・・。








母に手紙を書こう・・・・・・・そう思った。









(幸太側)

今日会社帰り駅のホームで・・・意外な人物に会った。
会いたいとも思っていなかったし出来れば忘れたいと思っていた人物。

あいつだと気が付いた時、無視しようと思った・・・・でもあいつの目を見て・・・・
動けなくなってしまった。


5年前とあまりに違っていたから・・・・。


昔の冷たさは何処にもなく・・・・・。

しばらく見つめていると・・・あいつは辛そうな顔で頭を下げ視線を外した。
電車が来て・・・乗り込むあいつの横顔を見て・・・・・どこか寂しくて・・・・
でも・・・『安らぎ』・・・みたいな物を感じた。

あいつに何があったのか・・・・。

・・・まぁ、あいつがどんな5年間を送ったかなんて・・・・俺には関係ない・・・か・・・。

電車の窓から見える景色。

たぶん隣の車両であいつの目にも同じ景色が映っているんだろうな・・・・。

2001.4.29


業務連絡→わけわからなかったっスか?(作者代行幸太より・・・汗)
作者もよくわかっていないようです・・・(←おいおい・・・汗)